2016年02月22日

ドリーム ホーム 99%を操る男たち【ネタバレ】


☆☆☆☆☆



不動産担保の借金を返済できない人を銀行に代わって家から退去させて担保物権を確保する。かつその家を転売することで利益をあげる不動産仲介業。借金を返せなくて、家は銀行の所有物となっているので、そこに済んでいる人は不法占拠している状態で、それを取り返えす法律の執行官で、警察も彼らの味方。だが、家を"奪われた"人からは人でなしと恨まれる。

主人公は不況のために仕事がなくなり、働きたくても働けない男。母と息子の三人暮らしの家を借金の方に取り上げられてしまう。住む家がなくなり打ちひしがれる、家族や友達と離ればなれになる子供のためになんとか家を取り戻したいが、法律は彼らに味方しない。そんなとき、彼らを追い出した不動産業者のカーバー氏から仕事をオファーされる。いつしかカーバー氏の代わりに、他の債務者を家から追い出す仕事をするようになっていった。

家族を守るため、家を取り戻すためにどんなことをしてでも金儲けをしようとする男が、そのために家族をも失いそうになる。

予告編中でも行っているが、不動産業者の言葉が象徴的だ。カネを稼ぐようになった主人公が、そのカネでなんとか奪われた元の家を買い戻したいと必死になる様を見て言う。家に愛着を持つな。それは単なる箱だ。大きい箱、小さい箱色々あるが、箱を手に入れて売ればカネになる。それだけだと。

そう考えなければとても出来ない仕事。ただ商品を右から左に流すだけ。所有している権利のない人から、取り上げるだけの仕事。

だが仲介業者にとっては単なる箱だとしても、住んでいる人にとってはとても重要なもの。極めて重要なものなんだから、借金返済が遅れたくらいの小さな問題で取り上げることができるなんて想像もつかないし、追い出さされないために必死になる。何回か登場するが、ちょっとした嘘やごまかしでその場を取り繕えると考える債務者達の姿が共通しているのが面白い。自分たちの家がそんなに簡単に取り上げられるだなんて理解不能な出来事なんだろう。実際、日本の法律では現在住んでいる人を強制的に追い出すことはできない。アメリカだからこそ発生する話。

追い出す仕事をしている主人公は追い出される側の気持ちが痛いほどわかる。だからこそその仕事への葛藤がとてつもない。箱と考えることができないでいる。家族のためにやらなければならない。でも追い出されていく人達にも家族が居ると。彼が愛着心を失い、冷酷に不動産業者になりきれるのか、それとも気持ちに絶えきれず自分の家族を不幸にしてでも金儲けをあきらめるのか。その行方が見ものだ。

そして箱と思い込むあまり、それを右から左に流すことを当たり前と思いすぎ、債務者の必死さ重要さが想定外になってしまったことが、彼らの失敗となってしまう。

双方の立場を理解でき板挟みになる設定がとても光っていて、それをリアルに表現するアンドリュー・ガーフィールドも迫真のものがあった。

http://dreamhome99-movie.com/
http://eiga.com/movie/83433/

監督:ラミン・バーラニ
出演:アンドリュー・ガーフィールド(デニス・ナッシュ)、マイケル・シャノン(リック・カーバー)、ローラ・ダーン(リン・ナッシュ)、ノア・ロマックス(コナー・ナッシュ)、アルバート・ベイツ(デレク)

原題 99 Homes
製作年 2014年
製作国 アメリカ
配給 アルバトロス・フィルム
上映時間 112分





posted by jmovie at 22:52 | TrackBack(1) | 洋画・ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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失われた家、その裏側は・・・
Excerpt: 8日のことですが、映画「ドリーム ホーム 99%を操る男」を鑑賞しました。 シングルファザーで無職のナッシュは ある日突然 不動産ブローカーのカーバーによって自宅を差し押さえられ、強制退去させられる..
Weblog: 笑う社会人の生活
Tracked: 2016-04-06 22:27
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