2015年05月30日

駆込み女と駆出し男

☆☆☆☆☆



主演の大泉洋のとぼけた人柄が最高に適した配役。それほど深刻にならず、かといってふざけすぎてもない。真面目にやっているのに少しユーモアが垣間見える風情がいい。ご用宿の見習いで、医師見習いで戯作者見習いといういかにも中途半端な立ち位置がぴったり。口先八丁でやくざものを言い負かす様なども彼なればこそ。まさにはまり役。

素朴でぼくとつな仕事一筋のじょご役の戸田恵梨香も好演。予告編ではいやな印象しかなかったが、満島ひかりも役柄にあっていてドラマの中では不快感はなかった。

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2011年12月29日

聯合艦隊司令長官 山本五十六

☆☆☆☆ー

日本の戦争の歴史とともに歩んだ名将でありながら、戦争回避を考え続けた山本五十六大将の太平洋戦争前から集結までの物語。

山本大将の人柄がおおらかに表現され、軍人に限らず広い視野と弱者の心を知る人間性の偉大さ大切さを感じさせる素晴らしい物語。やや美化され過ぎの感じはするが、勢いだけで大局観を見失い戦争につきすすむ愚かさを戒め、戦うからには勝たねばならないという信念と戦わずに済むことが最善であるという軍人の心が描かれている脚本は、観客にテーマが判りやすく伝わるものになっている。

ミッドウエイ海戦での陸上攻撃と艦隊攻撃の采配を悩む南雲中将の場面では、単に現場での問題とするのではなく、より大きなテーマと結びつけることで五十六の戦略面での正統性を際立たせている。他にも多くの出来事を五十六の主張とそれに反対する中央の人々とを対比させる構図で判りやすくできていると思う。

ころころと替わる総理大臣、国民の閉塞感を打破するため、バスに乗り遅れてはいけない……、新聞は真実を報道するのか新聞が世論を作って国民を導くべきなのか、などまさに現代日本の抱える問題をそのまま活写している。ここでなんら具体的根拠を持たず、勇ましい言葉だけを並べ立てて敗戦への道を突き進んだ過去の歴史に日本人は何かを学ぶことができるのかどうか。
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2011年12月14日

源氏物語 千年の謎

☆ーーーー

なんともまとまりのない映画。台詞が軽く子供向け怪獣まんがを見ているかのような浅いその場限りの場面ばかりで退屈。豪華キャスト、豪華衣装、豪華セットが虚しい。

千年前に書かれた日本文学の傑作、源氏物語の映像化とその作者である紫式部の人生を重ね合わせた物語。なのだが、ただストーリーがすすみ時間経過があるだけで核となるテーマが見当たらず、それぞれのキャラクターが何を目指して行動しているのかが曖昧でドラマへの興味が持てない。貴族衣装をまとった奇麗な顔の男性女性が動いていることくらいしか映画を観続ける興味を与えられないのは作家の仕事ができていない。

テーマとして提示されているのは「なぜ紫式部は源氏物語をかかなければならなかったのか」だが、最初のシーンでそれは解答されてしまっている。実は違うのかというのもない。作中人物たちの目的も彰子が皇子を生んだ中盤で解消されてしまい、あとはただ時間経過するだけ。

明示されたテーマとは違い中心的に扱われているのは、式部の内なる鬼が物語中で露になりそれが現実世界にまで影響を及ぼそうとしている。そして安倍晴明がそれに対抗できるのかどうか?という別テーマで、その意味で実際の主人公は六条御息所と言える。

そうであれば長大な物語の中でピックアップされた場面は源氏物語の闇に通じるストーリーばかりであり選択の視点の独自性は評価できる。

だがその対決は式部が自主的になんのドラマもなく書くことを止めることで解決してしまう。しかも式部がかかなくても物語の中の時間は流れ続けているし、まったく節操がない。
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2011年10月26日

一命

☆☆ーーー

ダメな点は三つ。狂人が主人公。ありえない戦闘シーン。ありふれた人情話。

始まりはよかった。ぴりぴりとした緊張感。役所広司と市川海老蔵の静かだが白熱した心情が溢れ出る表情や所作での演技。簡潔に語られる過去のエピソードの迫真性。頂点は、切腹を申し出た浪人が介錯人を指名した場面。色めきだつ一同。それまでの大名家側優位でありながら、浪人がみせつづけた奇妙な自信の秘密が明らかになった瞬間。

だがそこからがダメ。

大名家を困らせたあぶく銭をせしめようと悪行のいいわけに、貧しかったから病気の家族のためだったとか、それまで正直に生きてきたからということを並べ立てる。だが、それはありきたりで何百万いや何千万の家族が同じような境遇の貧しさを並べ立てただけのただただ平凡で退屈なだけの貧乏話。だからなんなのだろう。だらだらありきたりの人生を見せられて感動することなど不可能だ。清貧に生きて来たんだから少々の悪事は許されて当然だという道徳観なのだろうか?



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2011年10月12日

熊谷陣屋 シネマ歌舞伎

☆☆ーーー

シネマ歌舞伎シリーズ。中村吉右衛門により平成22年4月歌舞伎座さよなら公演最終月の演目として上演され、初代により確立された流れの芝居を映像化。

一ノ谷の合戦の時、源義経から密命を受けた熊谷直実は敵将平敦盛を殺したと見せかけ、代わりに初陣の我が子を身代わりとして殺して差し出した。主命とは言え、我が子を自らの手で殺した悲しさは計り知れない。その悲しみを押し隠して首実検でダマし通すその内面を演じる演者の演技力が問われる力作。

敦盛は後白河院と藤の方の落胤で、藤の方は熊谷夫妻の命の恩人という設定。恩人の子を殺した夫への複雑な感情が、後に実は死んだのは我が子とわかった後の取り乱しなども見所。

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