2018年01月29日

『ヒトラーに屈しなかった国王』

国民を戦争に巻き込まないため降伏を選んだ兄王のデンマーク。一方、弟王のノルウェーでは最後の決断は王の独裁によるのではなく国民の代表である政府を支持するというもの。民主主義的な信念を貫いた王の物語。

最初は立憲君主の国王らしく何もしない、もしかしたら何もできないただ単なる置物国王のようにも見える。孫の遊び相手が一番の仕事くらいの描き方。後継たる王子は国民のため強いリーダーシップを取り積極的に先頭に立つべきと憤る。そして主戦派の王子対和平のため対話を重視する国王の対立へ。

だが交渉による和平=武器を突きつけて脅しながら交渉するヒトラーのいいなりになるということ。和平で戦争の犠牲者はなくせるが、国の主権は失われドイツの戦争遂行の資源供給源となることを意味する。国民の命を重視するか、国としての独立を守るかの決断をせまられる。

国王の価値観はその二元論に基づいていなかったというのがどんでん返しだ。国民に選ばれた国王という誇りと、常に祖国のために行動するという。ずっとそれが理解できず父王を木偶の坊と思っていた王子もようやく理解する。和平を目指すドイツ公使の暴力に対する無力感もなど教訓的な映画だった。
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2016年02月17日

ブリッジ・オブ・スパイ

☆☆☆☆ー



スパイ交換を行う駆け引き。東側スパイの悟ったような姿勢。国益と無関係に表面的情報で非難したり、賞賛したりする西側市民。

人々から中傷され、命の危険にさらされ、コートを奪われ、寒さに震えながらも一人のスパイのため、あるいは無関係な青年のためにただひたすら正義の戦いに取組続ける弁護士の真摯な姿勢は感動的。

だが、最後に彼が国のために活動したことを知った世間の人から誉められるのはなんだか、シラけた。結局そこから利益を得てしまったのだから。そこは人知れず国の役に立った。家族もうすうす気がつきながら口に出さない奥ゆかしさのまま。そうであれば感動できたかもしれない。歴史的事実がそうだとしても、安直すぎる。

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2015年03月09日

パリよ、永遠に

☆☆☆ーー



ドイツ占領下のパリ。ノルマンディー後米英軍がパリに迫る中ドイツ軍はパリを撤退前に破壊してしまおうと考える。それを阻止しようとする"中立国"デンマークの総領事、間違ったことと知りながらも命令に従わざるを得ないドイツ軍将軍。二人の対話によってパリを破壊から救うことができるのかどうか。

時間が切迫する中で緊張感のある対話による攻防が見所。

優秀な外交官って口先だけで、誠実な軍人を簡単にだましてしまう恐ろしさを感じた。
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2015年02月24日

アメリカン・スナイパー

☆☆☆ーー



イラク戦争で狙撃兵として最高の成績を誇る兵士の実際にあった話を元に作られた映画。シリアスで戦場の緊迫感が伝わる。戦争映画として一級の迫力。戦闘シーンは主に狙撃の場面だからスピード感や激しい動きは少ないが、それだけに十分装備や狙いなど刻一刻と変わる戦いに引き込まれる。

後半、昇進してからはもっと接近戦が増えて市街戦などよくある戦争映画っぽくなるが、まじかでの殺人や怪我などリアリティは群を抜く。

大声で叫んだり大音響や勇猛なBGMで盛り上げるわけではないが、静かで真面目な調子が戦争の怖さを伝える。

その戦場から時々の休暇で国に戻るときに、戦場と平和な国内の日常のギャップに苦しみ、家族との生活との乖離していき精神的に追い詰められていく過程がもちろん主たるテーマだけど、単なる反戦、厭戦ではすまない真剣さが伝わる。

米国史上最大の160人の敵を殺したヒーローだが、彼が讃えられ愛されるのは殺したことでではなく救ったことによるもの。多くの人が彼に”救われた”と感じている。それは戦場ででもそうだが、帰国してからも。そして人を救っている実感が彼に人間らしさ取り戻させたのだろう。

http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/
監督・製作:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル)、シエナ・ミラー(タヤ・カイル)、ルーク・グライムス(マーク・リー)、ジェイク・マクドーマン(ビグルス)








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2015年02月05日

エクソダス:神と王

☆ーーーー



主人公であるモーゼが一体どういう人間なのかさっぱりわからない。壮大なスペクタクル巨編作りたかっただけで中身が空っぽの映画のように思う。しかも巨大なわりに盛り上がりにかけるつまらなさ。むだに精緻でリアルなだけの映像表現。

まず主人公。最初は王家の子として育てられた勇敢で自信家、それでいて野心のない謙虚な人物として登場する。民衆からは最高の将軍として皇太子よりも支持を集めている。が、王が死んでラムセスが王になると突如傲慢に振る舞い顧問の俺の言うとおりに行動しろと傍若無人。さらに追放後には「俺は神だ」俺の要求に従えと。

国を追放され砂漠で生死をさまよいながら脱出用地図を作成するのはどんな意図なのか?神に行けと言われたから来ただけなのにいつどの時点でヘブライ人を命がけ救うために何でもしてやろうと思いついたのか。まったく説明なし。

神の山へ登り出すのもよくわからない。禁断の山だと言われた後、わざわざ羊を追い立てて登っていくのはなんのためだろう?羊を追いかけている表現にはとうてい見えなかった。走ることなくゆっくり後ろから大声でせき立てて止めようとしているように見えなかった。羊をいいわけに山に登ろうとしたのかもしれないが、なにが彼をそうさせたのかもわからない。

ヘブライ人もなぜモーゼにそれだけ従うのかの根拠もわからない。誰も知らないはずのモーゼの出生の秘密を長老が知っていたのはなぜなのか?王女とその次女は誰にも話していないと断言しているし、長老自身もそう言っている。もしヘブライ人たちが即座にモーゼを英雄視して崇拝するとしたら長年自分たちを救うものとして固く心に刻まれるまで繰り返し聞いてきた話でなければならない。でも、モーゼが生きていると知っていたのは誰もいないはず。もしそれほど広まっている話ならエジプト人も知っていたはず。しかも何日もあるいは何ヶ月もヘブライ人の仲間が処刑されていてそれでも信じて従うのだから相当なもの。相当な信仰心をモーゼに対して持っているはずなのにその根拠が何一つ示されない。まったく説明不足。

もう一度モーゼに戻るが、その戦術。政府を動かすにはまず民衆を苦しめること。強い兵士には関わらず、なんの罪もない弱い民衆を殺し安全を脅かし不安に陥れることで政府に圧力をかける。今世界中で起こっているテロの手法そのもの。テロ肯定の思想を広めたいのだろうか?少なくとも今それをテーマに取り上げるべきではないだろう。20年前あるいはもっと違う時代にそういう価値観を提示してもいいかもしれないが少なくとも今ではない。

それとも、エジプト人に対してユダヤ人がテロをしかけるという皮肉を言いたいだけなんだろうか?

そしてユダヤの神。なんて神様だろう。異教徒だと思って残忍さを思い切り発揮している。動物を慈しむこともなく殺して殺して殺しまくる。虐殺のかぎりを尽くしている。最後には子供たちを狙い撃ちに皆殺し。そりゃあ現代人もこんな思想を振りかざして俺たちの神様にそむくとこんなひどい仕打ちをするぞなどという民を忌み嫌いたくもなるわな。

神様がべらべらしゃべって怒りにわめきちらすのも一体なんなんだか。わけがわからない。

ヘブライ人が奴隷としてひどい境遇であったといいながら、仕事の余暇に軍事訓練に明け暮れ、大勢の壮年男性が夜中も元気に戦いに出かけられるってどんんだけ余裕たっぷりの生活だったんだか。少なくとも現代日本人のほうが過酷な労働条件下にあるだろう。とても昼間にそんな活動をする余裕ないし夜だって疲れて寝ている。大飢饉の後でまで沢山の家畜を保有する余裕すらあるのだから説得力はない。

原題が"Gods and Kings"。ヘブライ人の神は一神教のはずでとすれば単数のGod。日本語タイトルでは神すなわちヘブライ人の神あるいは自ら神と名乗っているモーゼ対ラムセス王。と思っていたが、Godsとすると複数いるはずなんだがなんなのかわからないエジプトの神々とヘブライ人の王やエジプト人の王の話なんだろうか?とすると最初に予言だけしてあとなにもしないエジプト人の神々を描かないのは片手落ち。

モーゼの妻が自分に利益がないなら信仰を捨てると表現する部分もひどい。西欧人にとって信仰って現世利益の方便なんだろうか?信仰絶対の時代にそういう表現を疑問として投げかけるのはありだが、信仰が揺らいでいる現代にそれはあまりにひどい。

よかったのは冒頭のヒッタイト人との戦争シーンくらい。あとは全部だめ。

十戒を掘るシーン必要だろうか?続編への伏線?

http://www.foxmovies-jp.com/exodus/
監督:リドリー・スコット
出演者:クリスチャン・ベール、ジョエル・エドガートン、ジョン・タトゥーロ、アーロン・ポール




posted by jmovie at 21:46 | TrackBack(0) | 洋画・歴史/戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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