2014年01月22日

バイロケーション【表】[2014]

☆☆☆ーー

この映画は裏・表ふたとおりのエンディングが用意されて別々に公開されるマルチエンディングがウリだったので、「どうせ本人が勝つか負けるかでハッピーエンドかどうかの安易な内容だろうからどっちが一方だけ見れば十分だ」と思っていた。が、なかなか意外な展開だった。

冒頭から、陳腐は台詞、不自然な動き、下手くそな言い回し(ベテラン俳優陣なのに!)、設定や状況の説明のためだけに置きにいった不必要とも思える場面、役者の動き。など大学生の自主制作映画ばりの出来でイライラしながら見ていた。あと数秒で出ようというところで興味深い出来事がありその度にもうちょっとだけと思って我慢して座っていた。

が、ここから裏表が別れますよという選択をする場面があるのだが、そこからの展開がすごい。まったく予想と違う展開で(いやある程度疑っていた部分はあるのだがそういうはっきりさせているとまでは思っていなかった)びっくり。やられた感はある。

二回目の会合に登場した鏡味の役どころを見誤ってしまった。

そうなると別バージョンをどう見せているのかにも興味が出てくる。しかも退屈でイライラするであろう前半部分も各場面がどういう意味があるのかを種明かし結果を参考にしながら見るという楽しみもある。

映像だからこそさりげなく見せていた部分を原作小説ではどう記述していたのかなども気になる所。

不自然な場面が必要だった事の一部はこの設定のためなのだが、それでもおかしなところは残る。

主人公の夫の目が悪いのだが、歩行に白い杖が必要で数cmまで近づかなければ画も見えないのに遠くを歩いている人物を妻そっくりとまで言えることなどちょっと理解に苦しむ。目の悪さやどの程度の識別が可能なのかは最初の方でちゃんと説明が必要。

鏡を使ってバイロケを区別する設定もそれが重要な場面では全然使わないのも作者の都合で登場人物を動かしているとしか思えない。

バイロケは本物の記憶をコピーできるのだから、会のメンバーの名前を言わせるのは何の意味もないとしか思えないんだけど、これは私がちょっと誤解している可能性もあるので裏観てから判断するが、もし思っている通りならおかしい。少なくともメンバーはおかしいと指摘できるはず。

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2013年03月26日

相棒シリーズX Day

☆☆☆☆☆

「相棒」の魅力の第一は性格や能力・考え方が全く違う二人が対立し合いながらも一つの目的に向かうが、二人が化学反応していつしか友情が芽生える(ような気がする)ところ。

そんな意味で杉下右京と亀山薫の関係が、亀山が杉下を完全に信頼して言われるままに動く話が多くなった段階でかなり減退していた。一方パターンが定着する事で登場人物たちの人間的魅力も増していて、時々起こす亀山の暴走が上記関係性を維持していたように思う。

そんななか作られたシリーズのスピンオフ映画である本作は、杉下を離れる事で再び新鮮な二人組を生み出す傑作だ。

現場一筋、古いタイプのアナログ人間で勘と経験で動き回る思い込みの激しい熱血漢の伊丹刑事。サイバーテロ対策課で若く冷静でデジタル機器を使いこなすデスクワーク中心で「犯罪」捜査をしている意識が薄く「仕事」として処理する岩月刑事。

二人は出会いの後ことごとく対立を繰り返す。相棒シリーズ本編ではワンパターンの嫌味男としてのちょい役が、ここではその人間的行動が分かりやすくとてもいい味になっている。ややワンパターンではあるが、対照的な二人の行動は二人の出会いが増す程に先の読める展開をしてくれ、それが微笑ましくもある。対立はやがてじゃれ合いのようになり二人が、相手の行動が分かっていてけんか腰にならざるを得ない中でも予測通りの反応を期待して楽しんでいるようにも見える。

さてドラマのほうは登場人物たちの反応とは違って見えにくい。しかも本編と違って視聴者の何倍も上を行く推理力の持ち主杉下右京もいないので、いかにも刑事ドラマらしい地道な捜査によって徐々に謎が深まりある時突然視界が開けるというこれまた魅力的な展開。

謎の死をとげた大手銀行のシステム部員の捜査中に不信な反応を見せる勤務先の上司、さらに他の事件捜査からその事件との関連が出て来て事件の背景に意外な裏のある事がわかる。そこには政府金融庁など巨大な陰謀の影が。「X-Day」がなんの日を表すのかという事も劇中で知った方が衝撃的で楽しみの一つなので詳しく書かないが、ありきたりの政治家の汚職とかではなく現代的社会問題を数々取り込み、独自のテーマにしているのはさすが。

終盤のパニックシーンが稚拙とか、政治家同士の話し合いが直接的ぶっちゃけ話で中学生の喧嘩?遠回しな思わせぶり話で厚みがあるところが薄っぺらでつまらないとか何点か問題もあるが、それを上回る面白さがあった。

その他の登場人物たちもそれぞれに見所、魅力が多いにあり本編ファンなら間違いなく楽しめるし、本編はあまり見ていなくても十分満足できるに違いない。

看板として華の少ない川原氏が相棒シリーズの伊丹という馴染みある人物としての魅力を持って主役となることができ、これほど魅力たっぷりの人物を演じることができたのはこのシリーズの大きな功績と言えるだろう。
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2012年09月20日

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

☆☆ーーー

シリーズ中、最大のがっかり作品です。テレビスペシャルも含めて。映画版三作品はいずれも日本映画史上に残る大傑作だけに、長い沈黙の後の、しかもファイナルと銘打ったこの作品はそれだけで期待は尋常ではない。それを差し引いても期待外れと言って間違いない。

とは言え、過去の出演者があちこちに登場して古くからのファンにはたまらない楽しみを与えてくれるので、観ることはオススメします。

本作の何がつまらないって、まず始めっから犯人がわかっていること。意外性がどこにもなく(あ、一人だけこの人もなんだ!?って驚きもあった)、犯人探しの楽しみがゼロだったこと。もちろん「踊る」の楽しみのメインは犯人探しじゃないのでそれでもいいのですけど、やっぱりこれまでは意外な犯人がいて面白さを高めてくれていた。

もっとダメなのは、暗いこと。すみれさんが辞めるのか?辞めないのかっていうシリアスな背景もあるし、捜査本部も暗いライティングで終始密談。なによりギャグ満載で明るい雰囲気の湾岸署内は明るい話題がなくせいぜいビール問題だけ。新旧署長派閥抗争はむしろ空振りだったように見える。どんな深刻な事件の最中でも明るいのが湾岸署のいいところだったのにこれは大きなマイナス。

犯罪が個人的な復讐でこれといった社会性がないこと。一見警察の隠蔽体質への告発が最重要なように見えているが、やっていることは私怨。連続殺人で大きな事件のように見えているが単に死んでいるだけで緊迫感はない。過去の映画3作はいずれも時間に追われる緊張感とのんきな湾岸署内の雰囲気で大きな落差があったのに今回は全然なし。

犯罪がひとつだけでバラエティがない。過去の作品では大きな事件から小さな事件まで様々な事件が重層的に起りそれが湾岸署の厚みを出していたのに、それがまったくない。しかも一見小さな事件が実はメインストリームと関わっていたりする意外性も楽しみのひとつだったのに。

さらに警察の対応がなにやっているのかよくわからない。早い段階で警察官の犯罪と断定して人物まで特定しているのに何も対処しない。隠蔽するのはいいけど、捜査からはずして監視するくらいしてもいいんじゃないのか?あと警察の不祥事は隠したいのに、青島と室井はねつ造してまで不祥事を公表しようとするのは矛盾じゃないのか?せめて苦渋の決断っぽく迷ったらどうだろう?その面で、結論ありきの強引な展開になってしまっているのがつまらなさを増している。

結局踊るメンバー総出演しているだけの映画になってしまった。これならテレビスペシャルと逆の方がまだよかったように思う。テレビスペシャルのほうは結婚式余興で盛り上がり、別件が混じっていたりでそれなりに面白かった。
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2012年08月13日

アナザーANOTHER

☆☆☆ーー

怖いか怖くないかでホラー映画を評価すればこの映画は怖くない。ミステリアスな部分がなく、本来怖くなる部分もあからさまに表現されているのでグロテスクであったり目を伏せたくなることがあるかもしれないが、それは背筋の凍る恐怖ではない。

これは青春映画だ。クラスの中で存在しない者とされた少年と少女が、大勢の中にいながら自分たちだけの世界を満喫する。そしてクラスが「いない人」を必要とした伝説の起源を探し出すという、目的を共有して過ごす。

だが二つ彼女の眼帯の秘密と実際に大勢が死んで行きそれを見守っている司書の男の存在が真相に近づくきっかけとなる。

主人公の榊原が転校したクラスには奇妙なことがあった。いるはずの少女について他の生徒はあたかも存在していないかのように誰も触れなかった。自分にしか見えないのか?少女のことを調べようとすると、人が死んでしまった。彼は禁断の行為をしてしまったのだ。そして次々と人が死ぬ。少年はこれ以上死者が出ない方法はないかと探し始める。

謎解きがしっかり段階を追っていて、観客も一緒にミステリーを解いている感じになるのはよかったの。が、終盤の展開が雑すぎる。クライマックスの発見方法もそれができるなら映画の始まる前に解決できただろうというずさんなもの。ある人物の扱いが最初から不自然で、ドラマ進行に必要なときだけ登場させる下手くそな脚本かと思っていたらそういう出現の仕方に意味があったとなって、もう少しうまく描いてほしかった。

あと人の殺し方が即物的であっけなさすぎ。もう少し情感のある方法で怖さを演出してほしかった。

でもまあ奇妙でミステリー仕立ての青春映画として楽しめた。
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2012年07月04日

臨場 劇場版

☆☆☆ーー

検死官が不可解な死体の謎を追う中、司法制度の中の善悪の問題に突き当たる。殺人者に怒りを憶え、裁きの不公平さに義憤を感じながら官憲へ怒りをぶつける市民には嫌悪感を示さざるを得ない。そして最後にはカタルシスを得られるのかどうか。様々な感情を想起させるだけの映画からの力があった。

殺人事件の無惨さ、普通なら目を背け平静でいられない死体を冷静に淡々と処理する検死官たちの姿、真実を見つけ出すことに命をかける真剣さ、そういうシリアスで多様なものを見せられる。

そしてそこで展開されるドラマはあまりに不公平で世の中には正義がどこにもないのではないかと思わせるものだ。だが、主人公の検死官倉石は正義だとか公平とかそういうものを実現しようと飛び出している訳ではない。ただ死者の最後の声を拾い上げて真実を最後の一粒まで明らかにするただそれだけ。だからこそ曇りなく突っ走ることができるのだろう。

部下たちは、いわれなき批難を浴びたときでもいかにも相手の気持ちがわかっているかのような御為ごかしを言ってその場をごまかそうとする。できもしないのに相手にすり寄るのだ。だがそこでさらに突っ込まれると現実には何もできないのだから、主人公のように、私にはできませんとはっきり言うのは誠実だし、事実できることだけしかやっていない。だがその分、できることは最後までやり抜こうと自分が職を奪われようと命を落とそうとも。

作中かなり不満だったのは、その検死官が死亡推定時刻が分かりませんと言いながら、自分の職務である死亡推定時刻を確定させるための調査をおろそかにして刑事の捜査に首を突っ込む姿勢が、言葉での主張と乖離していることだった。まず、自らの職務として死亡推定時刻をどのようにごまかしたかの手法を明らかにして、その結果から捜査に協力するのが筋なのになぜそれをしないのか?と。だがそれは誤解だった。自らの死期が近いことを知っていたため、部下に自ら気づかせ自ら調査させるため疑問だけを示して解答を調べようとしなかったのだと。そこまで考えている人物だったとは相当な人物だ、この倉石という人は。

そしてもう一つの不満。死亡推定時刻については専門家中の専門家である検死官が何人もかかって考えても方法のわからないごまかし方を、門前の小僧である刑事が知っていて当然という考え方をして元刑事を疑うのだが、それがおかしいことは子供だって気がつく。検死官なら誰でも知っている方法だから、捜査でそれを教えてもらって知っているはずなのだ。だが、それにも回答は用意されていた。

ややシナリオに疑問を感じながらの鑑賞になってしまったのが少しだけ残念。

人気テレビドラマシリーズの映画化ということで登場人物などはそれなりの来歴のある人なのだろう。知っていればもっと楽しめたかもしれないが一度も見たことがないのでそれはわからない。ただ初見でもまったく違和感なく鑑賞できたことは間違いない。
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posted by jmovie at 01:29 | TrackBack(0) | 邦画・ミステリー/サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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